2011年6月14日火曜日

徒然0614:呼ぶがよい。

我が輩は狐面である。

とある家に世話になることとなり幾年が経つが、最近はこの家にも変化があらわれ少々賑やかになってきておる。

特に一昨年前よりこの家の一員となった幼い娘子がこの上なく騒がしくて困る。邪推するのは嫌いであるが、あの品の無さからして、おそらくはどこぞの祭りにあるような出店で引き取られて来たに違いない。とにかく感情のままによく泣きよく笑いよく暴れる。ダイソーで品良く売られていた我が輩とは大違いである。

さらにここ最近はご主人の言うことも聞かない様子で、風呂上がりにおいては服すら着ようとしない破廉恥さ!(だから我が輩は出店出身だと思っておるのだ。あの様ではお故郷が知れるわ!)

これがたまの事であればまだ良いのだろうが、毎日続く。ご婦人に至ってはとても語り尽くせぬ形相で娘子と戦を始める始末。ご主人も流石に困り果ててしまい、我が輩が一肌脱ぐこととなったのである。


「こらー!悪いごはいねがぁー!」

「服を着なさいー!」


あられもない姿で居間を闊歩する娘子の前に現れたのは、我が輩に覆われたご主人である。

我が儘三昧やっておった娘子が、我が輩の登場によって直立不動となった姿は、是非ともご婦人にも見ていただきたかったほど爽快であった!

我が輩を前にし凍てついた娘子は、その後は素直に服を着ておったよ。ご主人も予想以上の反応に驚いていた様子であるが、古くからこの家に仕える我が輩をもってすれば、あのような若輩者を一喝するくらい容易きこと。この程度の事ならば、いくらでもご主人の力になりましょうぞ。


我が輩は狐面である。あの娘子は我が輩を「わんわん」と呼ぶが、我が輩は狐である。せめて「こんこん」と呼ぶがよい。
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