突如現れた作業服のおっさん達に子供らは興味津々。隙あらば話しかけてくる。
「おじいさんはだあれ?」
「おじいさんは工事のおじいさんだよ」
「なんのこうじー?」
などと、代わる代わる話しかけられたが見慣れて来るとすっかり飽きたようで、最終的には自分たちが遊ぶのに精一杯で我々は空気みたいな存在となった。
ところが、作業が終わり帰ろうとした頃に、1人の男の子が近付いてきた。
「さんたでしょ」
「え?」
「おじいさん、ほんとはさんたでしょ」
なぜそんな考えに至ったのか。
実は私がサンタクロースでみんなが良い子に過ごしているのか確認しに来たんだろう、と言う内容を彼なりの言葉で熱弁してきた。
私はよく分かったね、と言った。
「やっぱり!」
「みんなにはヒミツだよ」
「わかった!」
「みんな良い子で嬉しいよ、ホウホウホウ」
私なりのサンタ像で応対した。
後日談。
あの作業日以降、工事のおじいさんはいつ来るのかと子どもたちからやたら聞かれるようになったそうで、園長先生から優しくクレームが入り私は出禁となった。